「ビブリア古書堂の事件手帖 (5) ~栞子さんと繋がりの時~」 三上延

静かにあたためてきた想い。
無骨な青年店員の告白は美しき女店主との関係に波紋を投じる。
物思いに耽ることが増えた彼女はついにこう言うのであった。必ず答えは出す、ただ今は待ってほしいと。
ぎこちない二人を結びつけたのは、またしても古書だった。いわくつきのそれらに秘められていたのは、過去と今、人と人、思わぬ繋がり。

脆いようで強固な人の想いに触れ、二人の気持ちは次第に近づいているように見えた。だが、それを試すかのように、彼女の母が現れる。
この邂逅は必然か? 彼女は母を待っていたのか? すべての答えが出る時が迫っていた。

青年の想いを古書は静かに見守ってきた


またもや久々のビブリア古書堂シリーズ。
二人の関係にもちょっと進展がありましたね。
じれじれしながらずっと平行線なのかと思っていたら、なんだかとっても微笑ましい展開に。

さて、今回もとっても興味深い本に関するあれこれが。
大抵読んだことのない本ながら、語られる内容のおもしろさに引き込まれていますが、今回は漫画も登場。
私も「ブラックジャック」なら読んだことがありますよ。
とはいえ、手塚治虫さんについて驚くことばかりだったし、こんなにも内容を変えながら版が重ねられてたんですね。
というか手塚さんのプロ魂凄まじいです。能力も。

プロローグとエピローグを読んでもわかりますが、母と娘のシンクロ率が異常なまでに高いので、互いにそこを意識してますよね。
親としては同じ轍を踏ませたくないという気持ちもわかるけれど、誰とどんな風に生きていくかによって、未来はまったく変わってくるんですよね、きっと。
栞子さんならきっと、違った未来を描けるはず。

全然脇役なんですが、知れば知るほど、栞子パパのことも好きになります。ああいう愛の形があってもいいんだろうけど、確かに子どもは巻き込んじゃだめですよね。

ところで、寺山修司さんの本が本書には登場します。
歌人やシナリオライター、映画監督などさまざまな活躍をして「職業は寺山修司だ」という言葉を私も聞いたことがある方ですが、ところどころ引用される詩がいいですね。ちょうど5月を目前にしたこのタイミングで読んだのも何かの縁でしょうか。
『われに5月を』と『家出のススメ』が気になります。

ある種物語がひと段落した感がありますが、むしろスタートラインに立ったところという見方もできるし、次巻がどんな展開なのか、楽しみです。

「作り話だからこそ、託せる思いもあるんです。もしこの世界にあるものが現実だけだったら、物語というものが存在しなかったら、わたしたちの人生はあまりにも貧しすぎる……現実を実り多いものにするために、わたしたちは物語を読むんです」 (p186)

★★★★

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