「日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ」 森下典子

お茶を習い始めて二十五年。就職につまずき、いつも不安で自分の居場所を探し続けた日々。
失恋、父の死という悲しみのなかで、気がつけば、そばに「お茶」があった。
がんじがらめの決まりごとの向こうに、やがて見えてきた自由。

「ここにいるだけでよい」という心の安息。
雨が匂う、雨の一粒一粒が聴こえる……季節を五感で味わう歓びとともに、「いま、生きている! 」その感動を鮮やかに綴る。

読むだけで、幸せになる。

これは、ものすごくよかったです。
20歳から25年お茶を続けた著者が綴った、お茶の世界。小難しい話は一切なくて、始めたばかりの頃の「なぜ?」という疑問や驚き、少しずつ広がりを見せていくお茶の世界、研ぎ澄まされていく五感…縁のなかったお茶の世界を知れて、その深さにとても感動しました。
読み返そうとして、鳥肌が立ってしまうくらい。

追体験したお茶の世界は、とっても不思議。
「頭で考えない」「覚えない」と、お茶の先生が言うことは、学校の先生が言うこととはまったく違う。
後にそれは、10年20年の流れで物事を見ているからだと気づかされます。詰め込みで知識や解法を頭に入れるのではなく、自分で気付く学びの喜びを知る。
生き急いでいては思いもつかないくらい長く、優しい目で人の成長を見守る視点に、なんだか尊いものを感じました。

それから季節のこと。
「春夏秋冬」の四季は、古の暦では24に分けられていたんですよね。
肌で季節を感じられるようになると、実際に季節は4つではなく、日々移り変わっているのを感じられるようです。道に咲く花や空気の湿り具合、空の高さなど、季節を感じるものはこんなにも溢れていたのに…意識を向けるだけで肌に感じるものが全然違うんですね。

季節が巡るように、暑い日や寒い日も人生にはあって、同じ日は1日もない。
どんな日も、その日を存分に味わう。
日日是好日…毎日が、いい日。
最後にその言葉が染み込んで、心が震えた。

読めて本当に幸せでした。

先生は、色づいた葉も、花としてあつかった。
「こういう葉のことを、『照り葉』というのよ」
実や花芽だけの枝も、花入れに飾った。それらは、すべて「茶花」だった。
私は「花」を、なんて小さい枠で見ていたのだろう。
茶花のない季節などなかった。退屈な季節など、1つもなかった……。 (p135)

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