「三匹のおっさん」 有川 浩

還暦ぐらいでジジイの箱に蹴り込まれてたまるか!
定年を迎えて一念発起した剣道の達人・キヨ、経営する居酒屋も息子に任せられるようになってきた柔道の達人・シゲ、遅くできた一人娘を溺愛する町工場経営者で機械をいじらせたら右に出るものナシの頭脳派・ノリ。
かつての悪ガキ三人組が結成した自警団が、痴漢、詐欺、動物虐待などご町内にはびこる悪を成敗!


「三匹の」、ときたら、続くのは「こぶた」なはず。
そんなところを見事に裏切ってくれるのが、有川さん。
還暦を迎える3人のおじ様たちの物語でした。

今の60歳は、若者の私が言うのもあれですが、ほんとに若いですよね。
孫がいる人も少なくないと思いますが、おじいちゃんという感じじゃ全然ない気がします。
定年後、仕事以外の生きがいを見つけて活動されてる方も多いですしね。
こんな人たちが自分のまちにもいたら最高!と思わずにいられません。

ユーモア溢れる痛快コメディですが、有川さんらしい恋愛場面にちょっとドキドキさせてもらいました。
若い二人の恋愛もいいんですが、個人的に一番胸にきたのは「一緒の墓ァ、入ろうな、○○」の台詞。あーいいなあ。
ずっと一緒に歩んできて、それなりの年齢になって、それで慕ってる相手からそんなこと言われたら絶対泣けちゃう。
最近、続編が出たこともあって、彼らの新たな物語を読めるのがとても嬉しい。

それにしても、軽快なリズムで書かれているけど、描かれてる題材は結構リアルですよね。
小動物の虐待、高齢者狙いの催眠商法、若者を獲物にする詐欺師。
モンスターペアレントの存在や無関心教師、希薄になる地域の繋がりなども描かれていて、世知辛いというか、寂しい世の中になってきたのかなと残念に思う部分もありました。
一方で、祖父と孫の交流をはじめ、人と人との温かい繋がりが確かに感じられて読んだ後はほっこりすること請け合いです。

★★★☆

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