「「また、必ず会おう」と誰もが言った。」 喜多川 泰

九州男児、和也。高校の夏休みを利用し行った先はディズニーランド。
恋人とでも、友達とでもなく、たった一人。
それは、自分でついた嘘が原因だった。目的達成した彼だが、飛行機に乗り遅れ自力で大分まで戻らなくてはいけなくなった。途方に暮れる彼に手を差し伸べてくれたのは―――。


良書なんだけれど、すごく惜しい。
伝えたい内容は素晴らしいのに、物語でそれが台無しになっているような気がします。
じんわり胸に残ることがある一方で、もんもんとしてしまうところもある一冊でした。

これは、高校生の男の子のある夏の冒険物語です。
見栄っ張りで嘘つきな男の子が、人との出会いから学びを得ていきます。
「人との出会いで人は成長していく」という物語の軸は、すごく共感できました。
もしかしたらこの小説は、喜多川さん自身が出会った人たちから学んだことなのかもしれませんね。
物語はあまりにもご都合主義で、こんなに上手くいくもの?とか、たかだか初めて会った高校生に、胸に秘めてた想いを誰もが打ち明ける?と、リアリティはないんですが、それぞれの人が語っている内容はより良く生きるための秘訣ばかり。

「人間は人が喜ぶことをしたときに、自分も同じ喜びを得ることができるんだ」 (p104)
「結局、どこにいようと自分が頑張ったぶんしか、人は幸せになることができないんだと思う」 (p178)
など、それぞれの人が語る内容が胸に響きます。
中高生でこれらの秘訣に気付いている人は無敵でしょうね。もっとも、大人になってから気付いたのでは遅いかというと、そうではないと思いますが。

“使命”について語られている場面も、とても印象的でした。
「自分の命は限りある有限なものだと強く認識した者ほど、自分の使命が何か考えようとする。(中略)使命とは限りある命を、永遠に続く何かに変えたいと願う行為だと私は思う」 (p192)というくだり。
そうか、戦争を生きた若者たちの成熟度はここからきているのかな、と思ったり。使命感を持って生きている人は、やっぱり輝いていますよね。

別に人と出会うのに旅である必要はないけれど、旅は非日常な上にたくさんの人と出会えるから、成長するにはもってこいですよね。
「まずは、行動すること」が人と出会うための第一歩。私もたくさんの人と出会ってたくさん成長して、出会った人たちをハッピーにできたらいいな。
そして、本書では信頼して待つことの偉大さも学べます。それをしてくれた親のありがたみが身に沁みて思い出されました。

「言うことを聞きなさい!」
ということで大人に怒られたことは何度もあったが、
「言うことを聞くんじゃない!」
ということで怒られたのは初めてだ。
メチャクチャな教育だけど、これを教えてくれる大人って大切な存在なのかもしれないと何となく感じた。
 (p131)

★★★★

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