「ダンス・ウィズ・ドラゴン」 村山 由佳

井の頭公園の奥深くにある、夜にしか開かない図書館。
<龍>を祀る旧家に育った血のつながらない兄妹が、吹き抜けの読書室で時を経て再会した。
互いの親に連れられ、初めて目と目が合ったとき、幼い妹はほろほろと泣いた。
記憶と今を結ぶため、ふたりは哀しい秘密をのこした故郷を訪れる。


「ダブル・ファンタジー」以来久々に読む村山さん。
真っ青な装丁がすごく綺麗。
どこか幻想的でいて官能的。
あまりハード本は買わないのだけど、わくわくしながら購入。

結論から述べると、読み終わった今、残念なことに消化不良。
物語がどうしても中途半端で、もどかしい。
とはいえ、ところどころ好きな要素も散りばめられていて。

お気に入りは、選ばれた者のみが辿りつける、不思議な夜の図書館。
吹き抜けのロビーに、古書のにおいに包まれた空間、時代を感じさせる蔵書たち。
行ってみたいなあ、そんな図書館。想像するだけで、わくわくする。
龍の話や生まれ変わりなど観念的な話も散りばめられてましたね。

そうだよね、と思う反面全体的に薄く感じてしまったのは、あれもこれもと風呂敷を広げ過ぎたから?
官能的な話を描く「黒村山」も好きだけど、果たしてここに官能場面は必要?と首を傾げたり。
想像力が足りないせいか、龍との官能場面が頭にうまく描けない。
まして、5歳の妹相手に一体何がおきていたのやら。
と、これ以上はネタバレになってしまいそうなので自粛。

肩透かしをくらったと感じた理由の1つは、ファンタジーなようでいてファンタジーじゃなかったこと。
もう1つは、帯にある「地獄だっていい、ふたりでいたい」とありながら、最終的にまるで地獄でなかったこと。
それでも、「白村山」時代からおそらく彼女の核として存在する孤独感、孤立感が愛しく、好きな作家さんであるのは今も変わらず。

もしもこの自分のそばにまったく同じ自分がいたとして、孤独は慰められるものだろうか。
きっと、二人でいても寂しさは二倍に、三人いれば三倍になるだけではないのか。
孤独というものは、自身とは異なる他者とでなければ、互いに埋め合うことはできないのだ。  (p250)

★★★

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