「100回泣くこと」 中村 航

交際3年、求婚済み、歳の差なし。
ここが世界の頂点だと思っていた。
こんな生活がずっとずっと続くんだと思っていた――。


「100回泣くこと」
タイトルと装丁に惹かれて手にした1冊。
物語のはじまりから、少し終わりが予感できる。
だからこそ、こわごわしながらページをめくりました。
とても淡々としていて、読み終わった後は鮮やかな夕焼けと乾いた音が胸に残りました。

解説で島生さんが書かれているように「愛する人の死」というのは普遍的なテーマで、どれだけ多くの人が書いてきたかわからないくらい。
それでも今なお書かれるのは、それが私たちが生きていく上で切っても切り離せないくらい重要なことだから、だと思います。
この物語の中で一番、挿話が好き。何回も読み返したいくらい。
読み返しているうちに涙が出そうになりました。

登場人物の穏やかに相手を想う様子も軽快な会話も、ひたむきに前を向こうとするところも、全部がとても大好きです。
「たとえば五年生存率とありますけど、これは少なくとも五年以上前に病気が発見された人の話ですし、今とは多少状況も違うと思うんです」
そんな台詞を、彼女の父親に言える彼は、それがはったりだとしても、盲目的な希望だとしても、すごくカッコいいと思います。
読み終わってしばらくしてから、じんわり余韻がくる。
いい本ですね。

「そりゃちょっとした変化はあるかもしれない。だけど絵の色は変わらないよ。絶対に変わらない」   (p146)

★★★☆

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