美大生の宇野正直は、大学の近くのコンビニでバイトをしている。
そこには、毎日なぜかソースだけを買っていく美人がいた。
正直は彼女に恋心を抱きつつ、密かに“ソースさん”と呼ぶようになる。
そんなある日、深夜の住宅街で女性の悲鳴を聞いた正直が駆けつけると、そこには男に襲われている“ソースさん”の姿が…。
672の応募作品の中から、見事選ばれた「オトナ女子が本当に読みたい小説大賞大賞受賞作」
キャンペーンで頂きました。
毎日毎日コンビニでソースを買い続ける美女に恋した、コンビニでバイトをする美大生のお話。 設定がおもしろいですよね。なんでソース?と興味津々。
話はかなり飛躍していて非現実的なんですが、ひたむきな美大生の想いが溢れていて、少し切なくなりました。
たとえば、ウェブで読んでいたらまた印象が違っていたんでしょうね。
ともあれ、ラストがとても大好きです。
素敵な絵画と、タイトルにかけられた二重の意味が作り出す余韻が心地よくて。
いわゆるメンヘラと呼ばれるであろう人たちの話は少しイタイ。
それでも、本書は痛々しいけれど、救いがある。
人を想うって、結局すごくかけがえなくて、尊いこと。そんなことに思いを馳せらせた一冊でした。
★★★