「奇跡のリンゴ」 石川 拓治

リンゴ栽培には農薬が不可欠。
誰もが信じて疑わないその「真実」に挑んだ男がいた。
やがて収入はなくなり、どん底生活に突入。
壮絶な孤独と絶望を乗り越え、ようやく木村が辿り着いたもうひとつの「真実」とは ―


奇跡のリンゴ。
置いておいても腐ることなく、枯れるように小さくしぼみ、甘い香りを放つ。
絶対に不可能と言われた、農薬を使わないリンゴ栽培。
そこに挑戦した木村さんのノンフィクション小説です。

奇跡のリンゴの話は、何度か聞いたことがありました。
実際に読んでみて、その壮絶な戦いと辿りついた境地に思わず涙が出ました。なんて、孤高な挑戦なんだろう。
自然を切り離して考えることができないように、人も人に生かされてる。
当たり前に思えるけど、心からそう思える境地に辿り着ける人はそういないんじゃないでしょうか。

表紙の木村さんの写真にも心が洗われます。
これは一種の哲学本でもあるんじゃないかと思います。
知識や経験から解き放たれて初めてたどり着く境地。
ひとつのことに夢中になってバカになれ。木村さんからのメッセージだとすっと心に入ってきますね。プロとはこういう人のことをいうんだ、と心を動かされました。
奇跡の詰まった一冊。
また読み返したい。

リンゴの木は、リンゴの木だけで生きているわけではない。
周りの自然の中で、生かされている生き物なわけだ。人間もそうなんだよ。
人間はそのことを忘れてしまって、自分独りで生きていると思っている。そしていつの間にか、自分が栽培している作物も、そういうもんだと思い込むようになったんだな。
農薬を使うことのいちばんの問題は、ほんとうはそこのところにあるんだよ。
  (p167)

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