「告白」 湊 かなえ

我が子を校内で亡くした女性教師が、終業式のHRで犯人である少年を指し示す。

ひとつの事件をモノローグ形式で「級友」「犯人」「犯人の家族」から語らせ、真相に迫る。

デビュー作でありながら、「週刊文春ミステリーベスト10」1位、本屋大賞1位を受賞したベストセラーの文庫化。


水面に投げられた石のような本でした。
話題作として何度も耳に入りながら、なかなか手を伸ばせなかった本です。読み終わるのはあっという間。
それでいながら、読了後はなかなか鳥肌が消えませんでした。

「聖職者」「殉職者」「慈愛者」などのタイトルのもと、犯人やその母親、級友がたんたんと語る、あるいは綴る物語でした。
真実はひとつでも、その見え方、捉え方は人それぞれで、むしろ見えない部分こそが著者の書きたかったものなんじゃないかと思ったほど。
和紙を重ねるみたいに、話を進めるごとに色濃く事件の全貌が見えてきます。

読んでいて、きっと先には救いなんてないんだろう。
そう思うのに、読み進めるのを止めることができず。もしかすると、見方によっては救いがあるのかもしれないけれど。
いたるところにトゲが散りばめられていて、読んでいてチクリと痛い。

どなたかがレビューで “弱っている時に読むものじゃない” と書かれていたけれど、本当にそのとおりですね。
湊さんの次作は、ぜひ弱っていないときに読んでみよう。

人間の脳はなんでもがんばって覚えておこうと努力するようにできているけれど、何かに書き残せば、もう覚える必要はないのだ、と安心して忘れることができるから。楽しいことは頭に残して、つらいことは書いて忘れなさい。  (p125)

★★★★

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