「想像ラジオ」 いとう せいこう

耳を澄ませば、彼らの声が聞こえるはず—-。
「文藝」掲載時より口コミで話題を呼び、かつてない大反響に。
著者16年の沈黙を破る、生者と死者の新たな関係を描き出した心に深く響く物語。

献本でいただきました。
想ー像ーラジオー。
耳を澄ませば聞こえてきそうな、ジングル。
パーソナリティはたとえ上手のおしゃべり屋、DJアーク。
爽やかな朝のような、雪が降り積もる夜のような、少し泣きたくなる物語でした。

発行されたのは3月11日。
あの大震災が題材になっています。
部外者が言及しにくい空気がある、生き残ったことで加害者意識を抱える人がいる、そんな中でこんなにも真摯に向き合い、物語に昇華させた人がいるなんて。
ユーモアたっぷりの明るいラジオは救いと癒しがあり、S先生のやり取りには気づきと共感がありました。
前者は被災者へ、後者はそうでない者へ届けたい。

何より、ラジオという距離感がすごくいいなと思いました。
私も通勤時にラジオをよく聞きますが、あのリスナー同士の、そしてパーソナリティとの一体感はなんでしょうね。
震災時も、ラジオは情報収集の要であったと思います。
近すぎることなく、遠すぎることない距離感でいて、忘れることなく想いを馳せる想像力を持っていたいものですね。

行動と同時にひそかに心の底の方で、亡くなった人の悔しさや恐ろしさや心残りやらに耳を傾けようとしないならば、ウチらの行動はうすっぺらいもんになってしまうんじゃないか。  (p71)

★★★★

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