「本を読む女」 林 真理子

万亀は本を読むのが好きなだけの平凡な女の子。
しかし突然の父の死と戦争の始まりによって、彼女の人生は否応なく時代の流れに巻き込まれてしまう。

進学、就職、結婚という人生の岐路において、常に夢や希望を現実に押しつぶされつつも、読書を心の支えに懸命に自分の人生を生き抜いた万亀。
著者自身の母親をモデルに、一人の文学少女の半生と昭和という時代を描いた力作長編小説。

時は昭和のはじめ。
夢や希望を持ち羽ばたこうとするも、時代の波や家族に翻弄されながらひたむきに生きる一人の女性の半生を描いた物語。
モデルは著者の母親。本を読むことが好きな万亀という少女でした。

今よりももっと、自由が制限されていた時代。
進学、就職、結婚のルートが、もっと限定されていた時代。
思うように生きられなくても、その時々自分に言い聞かせるようにして現状を受け入れようとする彼女の生き方は、時代をとても反映させているように感じました。
時折彼女を通して感じる郷愁の念や、どこか夢を見ているような感覚が読了後も残っています。

人生の大事な場面では、いつも傍らに本がある。
そのことが彼女の人生において、どんなに心強く励みになったことか。
読み終わった後抱きしめたくなるような、そんな1冊。
受け継がれていく人の命のたくましさに、胸がじんとしました。

なによりも自分には本がある。  (p209)

★★★★

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