「コーヒーが冷めないうちに」 川口俊和

とある街の、とある喫茶店の
とある座席には不思議な都市伝説があった
その席に座ると、望んだとおりの時間に戻れるという

ただし、そこにはめんどくさい……
非常にめんどくさいルールがあった。

それにもかかわらず、今日も都市伝説の噂を聞いた客がこの喫茶店を訪れる
喫茶店の名は、フニクリフニクラ。

デビュー作で20万部突破

結婚を考えていた彼氏と別れた女の話、
記憶が消えていく男と看護婦の話、
家出した姉とよく食べる妹の話、
この喫茶店で働く妊婦の話・・・
過去に戻れる喫茶店で起こった、心温まる4つの奇跡。

クーラーがついていないのに、夏でもひんやり涼しい、地下にある不思議にレトロな喫茶店。
そこではどうやら過去に戻ることができるらしい。
とはいえ、過去に戻れるといっても、そこには多くの縛りがあった。

「過去に戻っても、その喫茶店を訪れたことのない人には会うことができない」とか、「過去に戻ってどんなに努力しても現実は変わらない」とか、他にもいくつも。

登場人物がみな、ちょっと不器用なところが愛おしいです。
普通は、時間を遡ることなんてできない。
遡ったところで、人生を1からやり直すことなんてできない。
わかっていても、悔いてしまう過去がない人なんて、いないんじゃないでしょうか。あの時どうして、あんな言い方しかできなかったんだろう、あの時が最期だとわかっていたら、もっと違う言葉をかけられたのに、と。

4つの物語のうち、1つだけ涙なしに読めないものがありました。すこし、心が洗われた気がします。

喫茶店でコーヒーでも飲みながら、ゆっくり読みたい1冊でした。
幽霊の謎が残されたままということは、続編もあるのかな?装丁も素敵でお気に入り。次作も楽しみにしています。

水は高い場所から低い場所へと流れていく。それは重力による現象だが、人の心にも重力のようなものがある。自分が認め、心を許した相手の前では嘘がつけない。本当の自分をさらけ出してしまう。悲しい気持ちや、弱い自分を隠している時は特にである。  (p239)

★★★★

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