「フィッターXの異常な愛情」 蛭田亜紗子

広告代理店に勤める32歳の國枝颯子は、うっかりノーブラで出勤したある日、慌てて駆け込んだランジェリーショップ「Toujours Ensemble(トゥージュール・アンサンブル)」で男性のフィッター・伊佐治耀に出会う。フィッティングを通して、伊佐治からいい加減な生活習慣や生き方を指摘された颯子は、自分を見つめ直すようになる。

自分の”女らしさ”を否定して生きてきた後輩の百田馨、旬を過ぎたスキャンダル女優の本城夕妃、女装の趣味があるクライアントの大狼社長、出産後のセックスレスに悩む同期の美鈴・・・・・・
颯子をとりまく人々も、伊佐治のランジェリーの魔法によって少しずつ変わり始めて――!?
一歩前に踏み出せずにいる女子たちに贈る、前代未聞のランジェリー・ラブコメディ!!

女性に生まれてよかった、と思う。

ずっと読みたくて楽しみにしていた1冊。買ってよかったです。これは、手元に置いておきたい。

主人公は広告代理店に勤める32歳の颯子。
偶然にも同い年!冒頭から引き込まれます。

化粧したまま眠った夜に肌にかかる負担は30日間洗顔していないのと同じ、と聞いたことがある。ひと晩で1年分肌が老け込む、という説もなにかで読んだ。いや、10年分老化が進むのだ、という眉唾な話も先日ネットで見かけた。
仮に1年老化説を採用すると私の肌年齢は500歳オーバーってことになっちゃうんですけど、と国枝颯子は信号待ちでくちびるを尖らせ、息を漏らす。
きのうだってフルメイクにスーツのままベッドに倒れ込んでしまった。ストッキングも脱がず、ブラのホックすら外さず。

客観的に見たら、とか、理想の自分は、というのとかけ離れた自分、なんてものにちょっと落ち込みつつ、だめだなーと一人反省するあたり、共感しちゃう。
そんな彼女が、とある下着店で出会うフィッターによって、女性として生まれ変わるのにわくわくします。

元カレの結婚式に参加するなんていうイベントがあったり、仕事面でも波乱万丈だったり、ああそういえば、この年齢は厄年でしたねってくらいにいろんなことが起こります。

私がこの本を好きなところは、肌のハリが失われて、法令線が出てきて…と体の変化を感じつつも、自分の体を愛して、しっかりと肯定しようという姿勢。
小説だからさらっと読んでしまいそうになるけれど、なかなかにショッキングなことが多いです。そこで傷だらけになりつつ前に進んでいく強さはもちろん、「女性」という部分にフォーカスを当てているのがすごく良くて。30代の女性の恋愛模様もリアルでしたね。

最近、下着を新調していないなぁ。
読んでいて、自分の女性力を上げたくなりました。男受けを狙うわけじゃなくて、自分が女性として日々輝けるような生き方をしたいと思わせてくれた1冊でした。

20代のころの写真を見ると、ああこのころはまだ法令線がまったくなかったのに、笑っても目じりにしわなんか出なかったのに、って哀しくなる。鏡を見て泣きたくなる日もあるし、実際にないちゃうことだってある。

でも、贅肉や法令線やしわと引き換えに得た魅力もあるんじゃないか、って思っているんです。経験しなくていいことばかり経験してきて、自暴自棄になっていた時期もあったけれど、最近やっと自分の人生を肯定できる気持ちになりました。
いまが人生でいちばんいいとき。いつでもそう感じて生きていたい。

★★★★★

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1.フィッターXの異常な愛情 蛭田亜紗子

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「フィッターXの異常な愛情」 蛭田亜紗子” への2件のコメント

  1. こんばんは!
    この本は出合えて本当に良かったと思いました。
    30代女性が主人公ということで決して他人ごとではありませんでしたし、颯子を始め周囲の女性たちの悩みも分かる分かると思うことが多くて。
    良いなと思ったのは年齢に抗っていないことですよね。
    自分の今の年齢や体型に合った下着を見つけてくれるなんて素敵です。背筋もピンとしそうです。
    颯子の身に起きたことは驚きましたけど、それでも負けずに立ち向かい、また同じように真摯に向き合ってくれる伊佐治も素敵で。
    今この年齢の時に読んでよかったと思いました。

  2. こんばんは~^^この本、ほんとによかったですよね!
    苗坊さんの記事で読んでずっと私の頭の中の読みたい本リストに載っていた本なのですが、改めて見たら苗坊さんの記事が1年以上前でびっくりしました。いつの間にそんなに時間が・・・
    それはさておき、同年代の女性ならではの共感ありましたよね。
    この年だから無理だわ~みたいなのがないのもすごくいいし。
    ほんと、こんなに次から次によくもまぁいろんなことが・・・というくらいで、実際にどれか1つ身に降りかかってくるだけでも大変だろうけど、それに折れずに立ち向かう姿がかっこいいですよね。それに伊佐治との関係も素敵だし。
    また読み返したいなと思う1冊なので、大切に本棚に入れておこうと思います!素敵な本のご紹介ありがとうございます^^

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