「玉依姫」 阿部智里

生贄伝説のある龍ヶ沼と、その隣にそびえる荒山。
かつて、祖母が母を連れて飛び出したという山内村を訪ねた高校生の志帆は、村祭りの晩、恐ろしい儀式に巻き込まれる。
人が立ち入ることを禁じられた山の領域で絶対絶命の志帆の前に現れた青年は、味方か敵か、人か烏か―

今年も新刊が。1年に1度の楽しみです。

本屋さんで偶然見つけて、小躍りしながら買ってきました。

八咫烏シリーズの第5作目。
デビュー作から圧倒的な世界観を作り出した著者ですが、今回はその世界が現実とリンクしています。
幻想的な世界そのものが舞台だった前作までと一味違い、今作の主人公は女子高生。今までの世界が夢物語のような、少し遠くのお話にも感じます。

あの世界にもう一度浸っていたかった、という思いもありつつ、きっとこの大きな物語の中で今作は外せない大事なものなのでしょうね。
大猿と八咫烏の関係性や山神の存在など、今まで謎のベールで包まれていた部分が少しずつ明かされていきます。
現実世界が描かれているだけあって、なかなかに生々しい部分も多いですね。人の欲を醜いと切り捨てたくはないですが、浅ましいと少し感じてしまう。

時代とともに変化していくことを、静かに受け入れる。
それは、言葉にするよりも難しいことだと思います。長く続いてきたものであればあるほど、容易じゃない。
それでもここで、1つの時代が終わったのでしょうね。
次は新しい夜明けの物語でしょうか。
それとも、再び舞台を大きく変えるのでしょうか。
次作が第1シリーズ完結編のようですが、やはりとても楽しみです。

次作では雪哉が登場するといいなあと思いながら、一気に読み終えたところです。来年も楽しみ。

★★★☆

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