「ランチのアッコちゃん」 柚木麻子

地味な派遣社員の三智子は彼氏にフラれて落ち込み、食欲もなかった。
そこへ雲の上の存在である黒川敦子部長、通称“アッコさん”から声がかかる。
「一週間、ランチを取り替えっこしましょう」。
気乗りがしない三智子だったが、アッコさんの不思議なランチコースを巡るうち、少しずつ変わっていく自分に気づく(表題作)。

読むほどに心が弾んでくる魔法の四編。読むとどんどん元気が出るスペシャルビタミン小説。

読むと元気になれる、って素晴らしい。

読むのを、心待ちにしていました。
通勤電車の中で読みましたが、読んでいるだけで元気になる。ほくほくした気持ちでいっぱいです。

実は、かわいい装丁から思い描いていたアッコさん像と大きく違って最初は驚きました。
がっちりした肩幅に身長は173センチ。45歳独身の営業部長がまさか、アッコさんだとは。面食らったものの、読み進めていくうちに、伸びやかで素敵な人柄に、どんどん惹きこまれるばかり。なんて素敵な人なんでしょう。

食べるものが、人に与える影響は大きいと思っています。
人は、食べたものでできている、なんて言われたりもしますが、身体的なところだけじゃなく、気持ちの面だって、食べるものが与える影響は大きい。
そして、食べるものが料理されたものである以上、そこには必ず人が介在する。

本書に登場する料理が美味しいであろうことはもちろん、それぞれの料理に素敵な物語があるのがいいですよね。私だって、東京ポトフを食べてみたいし、ビアガーデンでビールを一杯飲みたい。
一生懸命働く人たちを癒すそれらの料理。
本当に元気をくれます。

ただ、美味しい、楽しい話だけじゃない。
日々生きていたら、大変なことだってたくさんある。
女性職場の派閥争いや、女性独特の険悪ムードに胃をすり減らすOL。
会社のために頑張る程にブラック企業化するのを止められないベンチャー社長。
アッコさんの会社にだって、まさかの出来事が。

そんな時、その場で頑張って耐え忍ぶのではなく、発想を転換させること。伸びやかに周りを見回す余裕を持つことが大切。
そんなことを教えてくれます。
私も今は女性職場で時にギスギスしたり(大抵は表面化)して、辟易することもありますが、「そういう時は、みんなの話の流れに合わせるんじゃなく、自分から話題をふればいいのよ。こちらから提供できるネタが多ければ多いほど、人間関係って楽になるわよ」の言葉に、なるほどそうかと膝を打つ思いでした。

続編がすでに出ていることも嬉しくて、読める日を楽しみにしています。

「知ってる?一人で食事をするより、誰かと食べたほうが長生きするのよ」 (p73)

★★★★

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