「花酔ひ」 村山 由佳

人は、出会うべく人にしか出会わない。
だけど、神様は時に間違えてしまう。
何を――?
順番をだよ。
偶然か、運命か、時を間違えて出会ってしまった二人の物語。

もうタイトルからして惹きつける「花酔ひ」
ページを開くと、目次には、「遊ぶ鬼」「肩越しの闇」「甘い水」…と続き、
本当に村山さんの言葉選びが好きだなあと心をくすぐられました。
楽しんでゆっくり読むつもりだったのに、思わず一気読み。

これは、大人の恋愛小説です。大人の恋に、色は欠かせない。
下品でなく、ドキドキするような女性の描写に胸がきゅんとします。

今回は着物、京都、葬儀、朝顔などのピースが和の舞台を作り上げています。
着物を着る人のあの背筋がすっと伸びる様はいいですね。京ことばもいい。
「装うってことはつまり、人さまへの心遣いをするってことなんだよ」
「粋と野暮の差は数ミリ単位」なんて、麻子の祖母の言葉も胸に響く。

見ちゃいけないものを見たような薄ら暗いものがあるのに、凛とした純粋さが残る。
余韻を残さない終わりが、かえって物語を思い返させる1冊でした。

「どんなに辛くたって、命まで取られるわけじゃない。人生、思うようにならないことなんか山ほどあるんだ。どうしても我慢が必要な時がめぐってきたら、無理を押してでも、笑って意地をみせてやんなきゃ」 (p368)

★★★★

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