「優しすぎて、怖い」 ジョイ・フィールディング

晩春の午後、ジェーンはミルクと卵を買いに出かけ、自分が誰だかわからなくなった。
名前も家もわからない。そして服には血が、ポケットには現金一万ドル。やっと連れ帰られた家をわが家と思おうとしても、男を夫と信じこもうとしても、何かそぐわない。
どうして皆がこんなに優しいのだ?それに、どうして日に日に体調が?

久々の海外小説、おすすめです。

ある春の日、突然自分が誰だかわからなくなった。
名前はおろか、年はいくつなのか、家族はいるのか、何一つとしてわからない。

そんな驚くような場面からこの小説は始まります。

記憶がないということは大変な出来事ですが、それだけならばまだいい。コートのポケットには大量の札束、コートを脱げば、そこにも驚くべきものが。
一体、何が起こっているのだろう。

記憶がないということは、何が本当のことだか判断できないということ。
それって恐ろしいですよね。まして、読んでる読者からしても、嫌な予感がぷんぷんするような状況に陥って、正直、逃げて!と思いながらも、それが本当に危険な状況なのか、確信が持てない。

そんな、霧の中を物語は進んでいきますが、少しも目が離せません。彼女の記憶喪失は医師の診断によると、ヒステリー性健忘症という、極度のストレスがかかった時に陥る症状だそう。

私だって、いっそ忘れてしまったら楽になるだろうにと思うこともあれば、実際によく思い出せなくなる記憶すらあるけど、丸ごと記憶をなくしてしまうような、一体どんなショックなことが・・・。
いずれ明かされる衝撃の事実に、きっとあなたも驚かされるはず。

「優しすぎて、怖い」という邦題は絶妙で、この小説にこれ以上ぴったりなタイトルはないんじゃないかと思うくらい。
許されない犯罪がでてくるけれど、純粋な悪意ではなく、歪な愛情がもたらした結末に、悲しい気持ちになりました。とはいえ、読了感はすかっとしているので、どなたにでもお勧めです。
言葉遣いが汚い人は嫌いだけど、癇癪持ちで正直者なジェーンの生き様は格好良い。

久々に海外の小説を読みましたが、読みやすかったし、おもしろかった。

★★★★

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