「しあわせのパン」 三島有紀子

北海道の静かな町・月浦に若い“夫婦”が営むパンカフェがあった。
実らぬ恋に未練する女性、出ていった母への思慕から父を避ける少女、生きる希望を失った老夫婦が次々と店を訪れる。彼らを優しく迎えるのは、二人が心を込めて作る温かなパンと手料理、そして一杯の珈琲だった。

静かに静かに、癒されます。

映画の存在は知っていました。その映画のノベライズかと思いきや、監督がこの小説を執筆したのだそう。

厳密に言えば、映画が先にあって小説が後から発刊されているので本書はノベライズとも言えるのかもしれない。
ですが、どちらも同じ人が生み出しているからこそ、受け手に伝えたいメッセージをブレなく届けられるのでしょうね。

さて、本書はどこかおとぎ話のような、静かで優しい物語でした。どちらかというと、現実的なものを求める人より、傷ついて静かに癒されたい人に向いている作品だと思います。
北国の、頭に浮かぶ映像がとても美しい。
ぱらぱらと読み進めていて、巻末に本書にも登場する絵本が収録されているのに気付き、途中からは絵本を読んでは作品に戻って…というのを繰り返していました。
とても美しくて、素敵なメッセージが込められた絵本です。

最後の「カラマツのようにきみを愛す」という章が一番好き。救われたい気持ちと、救いたい気持ちが合わさって、こんな物語を織り成すなんて。
手作りのパンを焼きたくなります。そして、少し丁寧に生きたくなります。映画で実際に映像を見たらさぞ美しいんでしょうね。
心を落ち着かせる、こんな小説もいいですね。

乾杯の数だけ人は幸せになれるそうです。ヨーロッパのどこかのことわざらしいんですけど。いいことがあったら乾杯して、何か残念なことがあっても乾杯して、1日の終わりを乾杯でしめくくれたら、それは幸せだ、と。 (p142)

★★★★

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1.しあわせのパン 三島有紀子

しあわせのパン (ポプラ文庫)著者:三島有紀子ポプラ社(2011-12-06)販売元:Amazon.co.jpクチコミを見る 北海道洞爺湖畔の静かな町・月浦に、りえさんと水縞くんの営むパンカフェ「マーニ ...


「しあわせのパン」 三島有紀子” への2件のコメント

  1. こんばんは^^
    原作私も読みました~。
    ノベライズというよりは本当に1冊の小説という印象でした。
    水縞とりえの雰囲気がとても良いですよね。その良さが醸し出されていて、だからワケありのお客さんたちの心を癒しているんだろうなと思います。
    小説と映画は対になっていて、どちらを先に見ても楽しめるように作ったとおっしゃっていた気がします。だから小説を読んですぐに映画を観ようと思っていたのに、数年経ってから映画を見たので細部を覚えていなくて^^;ちょっと悔しいです。いつか再読したいなと思ってます。
    映画も素敵ですよ^^

  2. こんばんは~^^
    印象的な1冊ですよね。私もこの本を読んで映画を見てみたい!と思ったのですが、実際に行動に移すのはいつになることやら・・・^^;
    でも同じ方が手がけた作品なのできっと、一貫性もあるんでしょうね。世界観が確立されてるというか。
    最近、に限った話ではないのかもしれないんですが、何分忘れるのが早くて早くて…忘れ切らないうちに観たいと思います!
    自分のために映画を借りてまったり休日を過ごす。。。とか、素敵ですよね。変に貧乏性で家で一人映画を借りて観る…ということがなかなかできないんですが、これを機にトライしてみます^^

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