「夜の写本師」 乾石 智子

右手に月石、左手に黒曜石、口のなかに真珠を持って生まれた運命の子。
幼いころに大きな喪失体験をした彼はやがて、<夜の写本師>として世界一の魔導師に挑む。これは、千年以上の時を経た壮大な物語です。



ブックレビューサイトのレビューを通して知ったこの本、ずっと気になっていたのですが、先日図書館で偶然見つけてすぐに借りてきました。
これがデビュー作だなんて信じられないくらい濃厚なファンタジー小説です。

ファンタジー好きにはたまらない、しっかりと確立された世界観、体系的な魔術の数々、運命的な巡り合わせ、深い闇などなど、心をひたすらくすぐります。
夢あふれるファンタジー小説というより、これは「ゲド戦記」に近い闇の色が濃いファンタジー小説でした。なかなか残酷で、結構怖い。映像化したら美しい場面も数々あるけれど、ホラーになるかもしれない場面もあって、そのバランスがまた絶妙。

嬉しいことに、どうやらこれはシリーズが出ているようで、この世界をまだまだ楽しむことができるよう。
大人になっても一気に心を異世界に飛ばしてくれるファンタジーはやっぱりいいと改めて嬉しく噛みしめた1冊でした。
写本をはじめ、本好きには嬉しくなる設定もたまらないですね。

ファンタジー好きの方には、ぜひともお勧めの1冊です。

われらは常に闇と隣りあわせている。ときおりその扉がひらいて暗黒の風にすべてを奪われたような気になるが、奪われたものばかりを見つめてはいかん。決して滅びえないもの、誰にも侵すことのできないものをこそ信じていかなくてはな。 (p233)

★★★★★

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