「配達されたい私たち」 一色 伸幸

32歳、ウツ、妻子あり。
感情は喪失し、毎日を芋虫のように暮らす澤野。
ある日、死に場所として入った廃墟で、届けられず捨てられた7年前の手紙の束を発見する。
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そうだ、この7通の手紙を届けてから死のう。
心を亡くした男が届ける、心を繋ぐ7通の手紙の物語。


知人に勧められて借りました。
著者がうつ病だったということがあり、鬱の描写がとてもリアル。

感情の喪失や色のない世界、動けない体に、取り纏う希死観念。
体験記ではなく小説でこんな風に鬱独特の症状を描いている作品は希少かもしれないですね。

7年前に届けられるはずだった手紙が時を越えて届くことで様々な物語が生まれますが、共通して思ったのは、タイミングって大きいなということ。
タイミングが違えば結果は違っていた。そういうことは現実にたくさんあって、むしろそういう些細なタイミングのズレや一致で生まれた結果の積み重ねが人生を創っているように感じます。

一般的な「良い」「悪い」という物差しとは別のところで物語が紡がれているのもよかったです。
時を越えて届けられる手紙って、なんだかいいですね。

★★★☆

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