「流れ星が消えないうちに」 橋本 紡

忘れない、忘れられない。あの笑顔を。
一緒に過ごした時間の輝きを。そして流れ星にかけた願いを――。
悲しみの果てで向かい合う心と心。せつなさあふれる、恋愛小説の新しい名作。


再読。美しい装丁に切なさが詰まった1冊です。
大好きな恋人を亡くした奈緒子が主人公です。
喪失の痛みと、それでも生きる人の強さに引き込まれました。
夜から夜明けに向けての物語は、一人静かに読むのにお勧めです。

作中でも言われていますが、年をとるってよいですね。
いろんな経験を積んで、少しずつ賢くなれる。前はわからなかったことが、わかるようになる。
それでも、いくつになっても悩んだり迷ったりもする。
不器用だけど、そんな「人」ってよいねと思います。

加地くんのように、繊細なアンテナと考える頭を持っている人にとって、生きることは大変なことかもしれないけど、その分たくさんの素晴らしいものを感じ、見ることができるんだと思います。
状況は変わらなくても、何かやってみるといい。立ち止まって考え続けるよりも、動き出すことで見えてくるものがある。
私も、そう思います。
重松さんのあとがきがまた心に響きます。
「空を見上げるのは、祈りだ。
傷つき、苦しんできたひとたち――永遠を生きることがかなわないからこそ愛おしい生を生きるひとたちが捧げる、歩きだすための祈りだ。」
あとがきもセットで読むことで、心に余韻が残ります。

だけど、ひとりで生きられるようにならなきゃいけないとも思っている。
でないと、結局、ただもたれ合うだけになっちまうだろう。それじゃ駄目なんだ。
ちゃんとひとりで立てる人間同士が、それをわかった上でもたれ合うからこそ、意味が生まれるんだ。 (p146)

★★★★☆

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