「悪意」 東野 圭吾

人気作家日高邦彦が仕事場で殺された。
発見したのは妻の理恵と幼馴染の野々口だった。
事件は野々口の元同僚・加賀の惜しみない調査と鋭い推理で解決したかのように見えた。
しかし、わからない事が1つある。それは「犯行の動機」だった。


<ネタバレ>
淡々とした調子でこんなにも面白く感じさせてくれる作品を私は他に知りません。
ほとんどが手記や独白で書かれてあったため一定のペースで読むことができ、私が十分に考えながら読めたのが何より嬉しかったです。
それにもかかわらず最初から罠にはまってしまっていました。

加賀も言ってる通り「整然と書かれたものは、説得力を持ちがちである。読み進むうちに、その内容が必ずしも真実とはかぎらないのだということを忘れそうになる」
正にその通りで、それが単なる野々口の手記だというのは知ってたはずなのに、当たり前のごとく事実として受け止めていました。
物語が二転三転とするのもすごく楽しかったです。

ほんとに180度の回転。その度に私が納得できるような説明をしてくれるから気持ちがよかったです。
解決された事件に、それも犯人の自白も証拠もあるのに動機一つのためにいつまでも調査をする加賀さんがすごいです。上司も嘆いていたけども、そんなことする暇普通はないはずなのに。
ただここまで純粋に動機に目を向けた作品は新鮮でした。

いじめと同じように確かに犯行の動機なんてものはふとした事から生まれる悪意に過ぎないのかもしれない。
つい私たちはその動機をドラマチックなものとして捕らえがちだけど、実際はもっと些細なものかもしれない。

★★★★★

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