「スタートライン」 小川糸 他

彼の浮気に気づいた花嫁、急に大人になった少女、別れ話をされた女、妻を置いて旅に出た男…。
何かが終わっても「始まり」は再びやってくる。

「変わりたい」「やり直したい」と思った瞬間、それがあなたのスタートライン。
恋の予感、家族の再生、衝撃の出会い、人生の再出発―。
日常に訪れる小さな“始まり”の場面を掬った、希望に溢れる掌編集。

ひさしぶりのアンソロジーです。

19人の作家による始まりをめぐる19の物語。 続きを読む

「僕は小説が書けない」  中村航 中田永一

生まれながらになぜか不幸を引き寄せてしまう光太郎。
引っ込み思案で心を開くことができず、親しい友人もいない。
血のつながりのない父親との関係をはじめ、家族との距離感にも悩んでいる。

高校で文芸部に所属することになった光太郎は、個性的なメンバーにもまれながら、小説の書き方、自分の生き方を模索していく。
人気作家二人による、奇蹟の青春小説!


中村さんの母校、芝浦工業大学で開発された「ものがたりソフト」を使って書かれたこの小説、中村航さんと中田 永一さんが5~10枚分の原稿を交互に書いていった合作小説です。
こんな風にして小説が生まれることがあるんだ!という創作方法ですね。

廃部寸前の文学部が舞台ですが、THE 青春小説という感じで、著者お二人の要素がそれぞれ入っていて二倍お得な読み心地。
登場人物はみなキャラが立ってますが、中でも鈴木先輩がお気に入り。類を見ないキャラ。反応が楽しい。

全体的に清々しい風が吹き抜けるような読み心地がなんとも中村さんらしい気もするし、遠くを見つめるような恋とユーモアが中田さんらしいような気もするし、読了後はなんだか高校時代に戻ったような甘酸っぱい気分です。

あとは、主人公の父の話がよかったですね。受け入れがたいことを許して愛すことはすごく難しいのに、懐の広さがあまりに格好よかったですね。

親子の物語としてもいいし、小説を書こうと思ったことのある人には一読して欲しい1冊でした。

好きになって欲しがるだけなら、小中学生でもできる。
でもな、愛し、許すことは高校生からでないと無理だ。いや、高校生にも難しいかもしれないけどな。
 (p227)

★★★

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