「太陽の石」 乾石智子

コンスル帝国の最北西の村に住むデイスは十六歳、村の外に捨てられていたところを拾われ、両親と姉に慈しまれて育った。
ある日父と衝突し、怒りにまかせてゴルツ山に登った彼は、土の中に半分埋まった肩留めを拾う。

〈太陽の石〉と呼ばれる鮮緑の宝石。これは自分に属するものだ、一目でデイスは悟る。
だが、それが眠れる魔道師を目覚めさせることに……。

デビュー作『夜の写本師』で読書界に旋風を起こした著者のシリーズ第3弾。

緑の美しさと、闇の恐ろしさを知る1冊です。

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「魔道師の月」 乾石智子

こんなにも禍々しく、これほど強烈な悪意を発散する怖ろしい太古の闇に、なぜ誰も気づかないのか…。
繁栄と平和を謳歌するコンスル帝国の皇帝のもとに、ある日献上された幸運のお守り「暗樹」。
だが、それは次第に帝国の中枢を蝕みはじめる。

若きふたりの魔道師の、そして四百年の昔、すべてを賭して闇と戦ったひとりの青年の運命が、時を超えて交錯する。
人々の心に潜み棲み、破滅に導く太古の闇を退けることはかなうのか?『夜の写本師』で読書界を瞠目させた著者の第二作。

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「夜の写本師」 乾石 智子

右手に月石、左手に黒曜石、口のなかに真珠を持って生まれた運命の子。
幼いころに大きな喪失体験をした彼はやがて、<夜の写本師>として世界一の魔導師に挑む。これは、千年以上の時を経た壮大な物語です。



ブックレビューサイトのレビューを通して知ったこの本、ずっと気になっていたのですが、先日図書館で偶然見つけてすぐに借りてきました。
これがデビュー作だなんて信じられないくらい濃厚なファンタジー小説です。

ファンタジー好きにはたまらない、しっかりと確立された世界観、体系的な魔術の数々、運命的な巡り合わせ、深い闇などなど、心をひたすらくすぐります。
夢あふれるファンタジー小説というより、これは「ゲド戦記」に近い闇の色が濃いファンタジー小説でした。なかなか残酷で、結構怖い。映像化したら美しい場面も数々あるけれど、ホラーになるかもしれない場面もあって、そのバランスがまた絶妙。

嬉しいことに、どうやらこれはシリーズが出ているようで、この世界をまだまだ楽しむことができるよう。
大人になっても一気に心を異世界に飛ばしてくれるファンタジーはやっぱりいいと改めて嬉しく噛みしめた1冊でした。
写本をはじめ、本好きには嬉しくなる設定もたまらないですね。

ファンタジー好きの方には、ぜひともお勧めの1冊です。

われらは常に闇と隣りあわせている。ときおりその扉がひらいて暗黒の風にすべてを奪われたような気になるが、奪われたものばかりを見つめてはいかん。決して滅びえないもの、誰にも侵すことのできないものをこそ信じていかなくてはな。 (p233)

★★★★★

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