「スタートライン」 小川糸 他

彼の浮気に気づいた花嫁、急に大人になった少女、別れ話をされた女、妻を置いて旅に出た男…。
何かが終わっても「始まり」は再びやってくる。

「変わりたい」「やり直したい」と思った瞬間、それがあなたのスタートライン。
恋の予感、家族の再生、衝撃の出会い、人生の再出発―。
日常に訪れる小さな“始まり”の場面を掬った、希望に溢れる掌編集。

ひさしぶりのアンソロジーです。

19人の作家による始まりをめぐる19の物語。 続きを読む

「食堂かたつむり」 小川 糸

同棲していた恋人にすべてを持ち去られ、失意の底に声を失った倫子。
ふるさとに戻った彼女がはじめたのは、1日1組のお客様をもてなす食堂「かたつむり」でした。


以前から気になっていて、やっと読めました!心動かされる物語でした。
序盤では、自然描写の美しさとそれを慈しむ様子から胸に込み上げてくるものがあり、泣きそうになりました。(そして、終盤は別の理由でまた泣きそうに)

「如雨露で水をこぼすようにぽかぽかとした秋の陽射し」
「生みたての卵の黄身みたいな、ツルンとした濃いオレンジ色の太陽」
ところどころ、素敵だなと思う描写が溢れてました。
絶対音感のある人がどの音からでも即座に音名を出せるように、著者は景色と素材を結び付ける感性が優れているのだと思いました。

料理や食材に対する姿勢、命や自然を尊び感謝するあり方には、共感を覚えるとともに心から素敵だと思えました。
誰かのために頭を悩ませて心を込めた料理は、何よりのもてなしになるんじゃないでしょうか。
料理がしたくなるし、お腹もすく本。
早速明日はザクロカレーとはいかないまでも、バターライスと特製カレーを作ろうと計画中です。

料理は祈り。そして、料理がおいしくできるのは、命ある食材のおかげ。
落ち込んでいる時でも人を元気にする力が料理にはあると思っています。
この本と出会えたことで、前よりもっと料理が楽しくなりそうです。

番外編もすごくよかったです。ほんとに素敵!
唯一・・・ 必要以上に上品でなくする必要はないんじゃないかな、と思う箇所がいくつかあったくらいで、突っ込みどころもれば賛否両論もある本ですが、私はおおむね大好きです。

イライラしたり悲しい気持ちで作ったりしたお料理は、必ず味や盛り付けに現れますからね。食事を作るときは、必ずいいことを想像して、明るく穏やかな気持ちで台所に立つのですよ。  (p192)

★★★★

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