「コイノカオリ」 角田光代 他

最近、恋のしかた、忘れてませんか?
ひとは、一生のうち何度恋におちるのだろう。
ゆるくつけた香水、彼のタバコや汗の匂い、好きな人に作った特別な料理——。
柔らかい恋の匂いをモチーフに繊細に、あるいは大胆に綴る、6つのラブスト−リー。

アンソロジーも、いいかもしれない。

いつまでも記憶に残る、恋にまつわる香りの話。
6人の著者によるアンソロジー。 続きを読む

「スタートライン」 小川糸 他

彼の浮気に気づいた花嫁、急に大人になった少女、別れ話をされた女、妻を置いて旅に出た男…。
何かが終わっても「始まり」は再びやってくる。

「変わりたい」「やり直したい」と思った瞬間、それがあなたのスタートライン。
恋の予感、家族の再生、衝撃の出会い、人生の再出発―。
日常に訪れる小さな“始まり”の場面を掬った、希望に溢れる掌編集。

ひさしぶりのアンソロジーです。

19人の作家による始まりをめぐる19の物語。 続きを読む

「生まれる森」 島本理生

失った恋と、再生 少女時代の終わり。

失恋で心に深い傷を負った「わたし」。
夏休みの間だけ大学の友人から部屋を借りて一人暮らしをはじめるが、心の穴は埋められない。
そんなときに再会した高校時代の友達キクちゃんと、彼女の父、兄弟と触れ合いながら、わたしの心は次第に癒やされていく。

堕ちていくだけだとわかっていても深みにはまってしまう恋を「森」にたとえ、著者はその鬱蒼とした「森」と、陽気な友人一家の様子を対比させて描く。 続きを読む

『一千一秒の日々』  島本 理生

仲良しのまま破局してしまった真琴と哲、メタボな針谷にちょっかいを出す美少女の一紗、誰にも言えない思いを抱きしめる瑛子。

真剣で意地っ張りで、でもたまにずるくもあって、でもやっぱり不器用で愛おしい。
そんな、あなたに似た誰かさん達の物語です。

いろいろままならないことはあるけれど、やっぱり恋したい、恋されたい―島本理生がおくる傑作恋愛小説集。

一千一秒の愛おしさについて。

口の中で転がしたくなるような「一千一秒の日々」というタイトル。
一千一秒。
約16分。
電話するには短く、キスするには長い。 続きを読む

「あられもない祈り」 島本 理生

「あなた」と「私」の密室のような恋。
なかなか主人公が病んでいました。
自分で自分の首を絞めちゃうタイプの人がたくさん登場します。

はたから見ると、「何やってるんだ」ということだって、本人たちからすれば真剣なわけで。
不器用な登場人物たちの苛立ちや根拠のない恐怖の描写が的確。
鋭い言葉に、たまに古傷を刺激されました。「全部自分が悪いだなんて、全部自分が悪くないと言ってるのと同じ」とかね。
誰も彼もが単に甘えてるだけじゃん。という一言で片づけられちゃう内容かもしれないけど、正体不明の罪悪感や恐怖の大きさがとても現実味を帯びていて簡単には切り捨てられない気持ちにさせられました。
結局、誰もが弱い。弱くて脆い。
だけど、一生懸命もがいている。
「あなた」もずるいし、「私」もずるい。だけど二人の魅力もわかってるつもり。
「あなた」の「百回会ってからじゃないと、好きも嫌いも分からないような人間ではないつもりです」という言葉にときめいたり、「私」の職場の同僚が愚痴を言い合ってる時に「自分は仕事があってお金を貰えることが単純に嬉しい」と言えるところに惹かれたりもしました。

全体的に重たいですが、島本さんらしい作品な気がしました。
特に言い回しにセンスを感じたのは「お腹に石を詰め込まれた狼のような体で」というフレーズ。
島本さんの言葉選びが好きです。

「そんな浅いところで馴れ合ったり傷つけ合って、それで絶望したつもりか。君が孤独になりたいというのなら、それでもいい。ただ、そんな浅瀬で溺れたふりなんて、俺は一生認めないし、そんなことになれば、君を軽蔑する」  (p141)

★★★

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「ナラタージュ」 島本 理生

ずっと想い続けていたひとと交わした熱い瞳、もう、この恋から逃れることはできない–早熟の天才、少女時代の最後を傾けつくした、絶唱というべき恋愛文学。

胸が苦しくなるほど切ない物語です。
読んだら忘れてしまう本も多い中で、何年も経ったのに頭の中にシーンや台詞が再現されます。言葉がチクチク胸に刺さります。
読了後に余韻がいつまでも残りました。
装丁も絶妙。失恋した時はぜひこの本を、と言いたいです。 続きを読む