「超・殺人事件―推理作家の苦悩」 東野圭吾

新刊小説の書評に悩む書評家のもとに届けられた、奇妙な機械「ショヒョックス」。
どんな小説に対してもたちどころに書評を作成するこの機械が、推理小説界を一変させる――。

発表時、現実の出版界を震撼させた「超読書機械殺人事件」をはじめ、推理小説誕生の舞台裏をブラックに描いた危ない小説8連発。
意表を衝くトリック、冴え渡るギャグ、そして怖すぎる結末。激辛クール作品集。

寝る前のひとときに、お勧めです。

推理作家の苦悩をシニカルかつユーモアたっぷりに書いた、短編小説集でした。 続きを読む

「予知夢」 東野 圭吾

深夜、十六歳の少女の部屋に男が侵入、母親に猟銃で撃たれた。
男は十七年前に少女と結ばれる夢を見たと言う。天才科学者湯川、参上


摩訶不思議なことが次々起こるガリレオシリーズ短編集です。
久しぶりのガリレオシリーズ。
湯川さんが個性派イケメンでいい味を出してます。

脳内映像はすっかり福山さんで再現されてるため、イケメンっぷりに少しミーハーな気持ちになりつつ読了しました。
科学的なトリックについて、説明されてもいまいち理解できてない部分もあるんですが、科学や視点の切り替えで謎が解き明かされるのはおもしろいですね。
その一方でミステリーはそのままに、という部分があるのも余韻が残っていいですね。

★★★

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「分身」 東野 圭吾

私にそっくりな人がもう一人いる。あなたにそっくりな人がもう一人。

札幌で育った女子大生と、東京で育った女子大生…。

宿命の二人を祝福するのは誰か。追跡と逃走の遥かな旅が始まるサスペンス。


もしかしたら、世界のどこかでこんなことが起こっていたりして。
そんな想像が荒唐無稽でないような、ちょっぴり現実に近いSF要素が混ざった物語です。

母が小さい頃から娘に課した約束の意味。
大きくなるにつれて娘を遠ざけた意味。
小さな「どうして?」が蓄積していたところに、大きな事件。謎を追及していった結果、とんでもない真実に辿りつきます。

同じ姿をした二人の女性が主人公です。
互いに謎を追い求め、時に情報がクロスしながら真実が見えてくるのが爽快です。
とはいえ、見えてきた真実は決して爽快なものではありませんが。

母とは何かについて、少し考えさせられますね。
血のつながりがなくても母は母で、母を母にせしむのは子なのかもしれませんね。

ちょっと怖いけれど、先が気になる。
楽しくあっという間に読めちゃう1冊でした。

★★★★

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「容疑者Xの献身」 東野 圭吾

天才数学者でありながら不遇な日々を送っていた高校教師の石神は、一人娘と暮らす隣人の靖子に秘かな想いを寄せていた。
彼女たちが前夫を殺害したことを知った彼は、2人を救うため完全犯罪を企てる。
だが皮肉にも、石神のかつての親友である物理学者の湯川学が、その謎に挑むことになる。
このミス1位にも輝いた直木賞受賞。


何度読んでも、いいものはいい。
大好きな小説の1つです。内容を忘れた頃に読んでは泣いて、やっぱり良本だとしみじみ感じます。
孤高の天才同士の知の掛け合いや友情も見処ですが、ミステリーのトリックや何よりも深い愛情に感動せずにいられません。

最初は動機にしてもトリックにしても、どうして??と思うことばかりだったのに、最後はすんなり全てを納得できてしまう。
気付くと登場人物に深く共感してしまう、というのは東野さんの筆力故でしょうか。本当に彼の小説はミステリーの枠組みを越えて人間描写が素晴らしいですよね。

読み終わった後も頭の中で再現されるシーンがあまりにも多くて、苦しくも切なくもなります。
人が生きる意味、生かされてる意味、考えさせられますね。そして、何気ないその人の行動が誰かを闇の底から救う、ってことはありますよね。
その時に生まれる感謝の念や世界が色付く様子を、想像するだけで涙が出てしまう。
石神さんみたいな数学の先生、いたらとても素敵。

私も子どものどうして?に答えられる大人でありたいし、そうなれるように成長していきたい。
誰にでも胸を張っておすすめできる一冊です。

人は時に、健気に生きているだけで、誰かを救っていることがある。  (p386)

★★★★★

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「流星の絆」 東野 圭吾

流星を見に家を抜け出した、ちいさな3兄妹。
家に着いた兄が目にしたのは、惨殺された両親の姿だった。

それから14年。3人は力を合わせ、時に詐欺を働きながら懸命に生きてきた。
今度のターゲットはあの男だ。
―― 「兄貴、妹(あいつ)は本気だよ。俺たちの仇の息子に惚れてるよ」


普段あまりドラマを見ない私ですが「流星の絆」は、わりとよく見ていました。
配役も内容も良くて、ついつい気付くとテレビの前に座ってました。
東野作品の映像化は外れが少ない気がします。

ドラマでも印象的なシーンはいくつかあったのですが、犯人などの記憶がおぼろげ。ラストを見ていないのかも。
それならそれで都合がいいや、ということで原作を読んだのですが、一気読みしてしまうくらいおもしろかったです。
設定がまず魅力的。人物像も好き。ドラマを見ていたせいもあって、脳内再生は、ばっちり二宮くん、亮くん、戸田さんでした。なんて適役。

騙す側にまわるか、騙される側にまわるか。
その二択を選ばざるを得ないと思ってしまった環境が切ない。
そして、兄二人の妹に対する何よりも深い愛情に思わず涙しました。

物語は綺麗に終わりますが、現実は綺麗なだけじゃ済まされない。行動することによって生じる責任や影響は必ず存在する。
これからも彼らには困難が待ち受けているだろうけれど、「流星の絆」がある限り、どんなものでも越えていけそうな気がする。
切ないけれど温かい、素敵な物語でした。

★★★★

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「嘘をもうひとつだけ」 東野 圭吾

久々の、といっても私にとってはまだ2作目の加賀刑事の物語。
加賀刑事は刑事として誠実かつ優秀。

ほんの少しの不自然さも見逃さず、そこからどんどん事件を紐解いていく。
仲間のうちは頼もしいけども敵に回すととても厄介な人という感じです。

殺人を隠すためについたたったひとつの嘘。
その時についた嘘はひとつにすぎなくても、当然のごとく嘘を隠す為に発する言葉は全て偽物です。加賀刑事は自分が気づいた”不自然” なことからその嘘を見つけ出し、犯人を追い詰めていきます。
その緊迫感がたまらなく、また犯人側の立場で読むと焦り嫌な気持ちにもなります。
誰だって嘘を見破られるというのは気持ちがよくないものですから。

それでも、加賀刑事の筋の通った推理を聞いているうちにそういった焦るような、嫌な感情がなくなるから不思議です。私から見た加賀刑事は、なんだか不思議な人。

「嘘を隠すには、もっと大きな嘘が必要になる」

★★★☆

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「悪意」 東野 圭吾

人気作家日高邦彦が仕事場で殺された。
発見したのは妻の理恵と幼馴染の野々口だった。
事件は野々口の元同僚・加賀の惜しみない調査と鋭い推理で解決したかのように見えた。
しかし、わからない事が1つある。それは「犯行の動機」だった。


<ネタバレ>
淡々とした調子でこんなにも面白く感じさせてくれる作品を私は他に知りません。
ほとんどが手記や独白で書かれてあったため一定のペースで読むことができ、私が十分に考えながら読めたのが何より嬉しかったです。
それにもかかわらず最初から罠にはまってしまっていました。

加賀も言ってる通り「整然と書かれたものは、説得力を持ちがちである。読み進むうちに、その内容が必ずしも真実とはかぎらないのだということを忘れそうになる」
正にその通りで、それが単なる野々口の手記だというのは知ってたはずなのに、当たり前のごとく事実として受け止めていました。
物語が二転三転とするのもすごく楽しかったです。

ほんとに180度の回転。その度に私が納得できるような説明をしてくれるから気持ちがよかったです。
解決された事件に、それも犯人の自白も証拠もあるのに動機一つのためにいつまでも調査をする加賀さんがすごいです。上司も嘆いていたけども、そんなことする暇普通はないはずなのに。
ただここまで純粋に動機に目を向けた作品は新鮮でした。

いじめと同じように確かに犯行の動機なんてものはふとした事から生まれる悪意に過ぎないのかもしれない。
つい私たちはその動機をドラマチックなものとして捕らえがちだけど、実際はもっと些細なものかもしれない。

★★★★★

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