「スタートライン」 小川糸 他

彼の浮気に気づいた花嫁、急に大人になった少女、別れ話をされた女、妻を置いて旅に出た男…。
何かが終わっても「始まり」は再びやってくる。

「変わりたい」「やり直したい」と思った瞬間、それがあなたのスタートライン。
恋の予感、家族の再生、衝撃の出会い、人生の再出発―。
日常に訪れる小さな“始まり”の場面を掬った、希望に溢れる掌編集。

ひさしぶりのアンソロジーです。

19人の作家による始まりをめぐる19の物語。 続きを読む

「流れ星が消えないうちに」 橋本 紡

忘れない、忘れられない。あの笑顔を。
一緒に過ごした時間の輝きを。そして流れ星にかけた願いを――。
悲しみの果てで向かい合う心と心。せつなさあふれる、恋愛小説の新しい名作。


再読。美しい装丁に切なさが詰まった1冊です。
大好きな恋人を亡くした奈緒子が主人公です。
喪失の痛みと、それでも生きる人の強さに引き込まれました。
夜から夜明けに向けての物語は、一人静かに読むのにお勧めです。

作中でも言われていますが、年をとるってよいですね。
いろんな経験を積んで、少しずつ賢くなれる。前はわからなかったことが、わかるようになる。
それでも、いくつになっても悩んだり迷ったりもする。
不器用だけど、そんな「人」ってよいねと思います。

加地くんのように、繊細なアンテナと考える頭を持っている人にとって、生きることは大変なことかもしれないけど、その分たくさんの素晴らしいものを感じ、見ることができるんだと思います。
状況は変わらなくても、何かやってみるといい。立ち止まって考え続けるよりも、動き出すことで見えてくるものがある。
私も、そう思います。
重松さんのあとがきがまた心に響きます。
「空を見上げるのは、祈りだ。
傷つき、苦しんできたひとたち――永遠を生きることがかなわないからこそ愛おしい生を生きるひとたちが捧げる、歩きだすための祈りだ。」
あとがきもセットで読むことで、心に余韻が残ります。

だけど、ひとりで生きられるようにならなきゃいけないとも思っている。
でないと、結局、ただもたれ合うだけになっちまうだろう。それじゃ駄目なんだ。
ちゃんとひとりで立てる人間同士が、それをわかった上でもたれ合うからこそ、意味が生まれるんだ。 (p146)

★★★★☆

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「九つの、物語」 橋本 紡

大切な人を、自分の心を取り戻す再生の物語。
大学生のゆきなのもとに突然現われた、もういるはずのない兄。奇妙で心地よい二人の生活は、しかし永遠には続かなかった。


川で溺死したはずのお兄ちゃんが戻ってきた。
淡く優しい日常の中で、ゆきなは再生していく。
お兄ちゃんの本棚にある本を読みながら、
お兄ちゃんが作る美味しい料理を食べながら、
物語は進んでいきます。

それは温かい日常でありながら、死んだはずの人が登場するという絶対的な違和感があり、
時に不安定な気持ちにさせられました。
厳しい現実に立ち向かうとき、生きるヒントを本に求める。
そんなゆきなの姿勢に共感。

レシピもついてるトマトスパゲッティがとっても美味しそう。
読んでいてお腹がぺこぺこになりました。

★★★

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