「風よ、万里を翔けよ」 田中 秀樹

隋王朝の盛衰を軸に、一人の少女が強く生きる様子を描いた物語。
少女の名は木蘭。老体で身体の不自由な父に代わって従軍します。


ファンタジーだと思って本を開いたので、最初は違和感でいっぱいでした。
三国志や封神演義を思い出すような、史実に沿ったわりと骨太な歴史小説でした。
名前こそ知っていたもののそれ以上は無かった、隋の文帝や煬帝について触れられたのもよかったですし、大国である隋の盛降がわずか40年にも満たない様子には感慨深いものがありました。

「大きな流れの中で、自分個人はどう生きていくのか」といった深いテーマも豪勇たちの間から垣間見えた気がします。
恋愛描写が特にあるわけではないのですが、ずっと男装をしていた木蘭が初めて女性の姿で相方の賀廷玉と会う場面は、少しきゅんとくるものがありました。
京劇にもなっていたり、ディズニー映画(「ムーラン」)にもなっていたりすることからも、この時代を力強く生きた女英雄、木蘭の人気がわかるようです。

こういった他国の物語を日本語で書いてくれる人がいることに、感謝の気持ちでいっぱいです。
本当はその国の言語で読めるのが一番だと思うのだけど、なかなか難しいですものね。

★★★☆

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