「水やりはいつも深夜だけど」  窪美澄

思い通りにならない毎日、言葉にできない本音。
それでも、一緒に歩んでいく――だって、家族だから。

『ふがいない僕は空を見た』の実力派が、ごく普通の家庭の生々しい現実を強烈にえ
ぐり出した、珠玉の連作集。

子育て中に読んだら、ふっと楽になれそうです。

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「ふがいない僕は空を見た」 窪 美澄

コスプレ高校生と主婦の密会、
姑に不妊治療を迫られる主婦、
呆けた祖母を介護する団地の高校生などなど、
「性と生」を綴った連作短編集。


本書のタイトルも、それにぴったり合う装丁も魅力的でずっと気になっていた本です。やっと手にできて大満足。
登場人物の視点が章ごとに変わるこのような連作、大好きです。
まず1章目を読み始めてすぐ、あまりのインパクトに、びっくり。
官能的というより、なんだか生々しい。

人が繋がって、生まれて、育って、1冊の本を通して人が生まれて生きることについて思いを馳せられます。
オープンにできない、ちょっと人には隠しておきたいような何か、をそれぞれ抱えて生きている。
生きる中で、生まれながらの、あるいは突如として登場する困難にぶつかっている。
そんな場面がすごく人間味に溢れていて、登場する人たちがどうか、幸せでありますようにと思わず願ってしまいたくなるほど。

それから印象的だったのは、
「乱暴に言うなら、自然に産む覚悟をすることは、自然淘汰されてしまう命の存在をも認めることだ」という言葉。
自然派化粧品、とか自然派食品、とか今は「自然」なんてキーワードが注目を浴びることが多いけれど、自然っていうのはそう、いい面ばかりじゃなくて自然の持つリスクだって受け入れてこそだよね、と思ったのです。
薄暗いようなカラーの中で、とても力強いパワーを感じる1冊でした。

本当に伝えたいことはいつだってほんの少しで、しかも、大声でなくても、言葉でなくても伝わるのだ、と気づいたのは、つい最近のことだ。 (p200)

★★★★

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