「白鳥異伝」 荻原 規子

遠子と拾い子の小倶那は双子のように育った。
だが、小倶那は都に出、大蛇の剣の主となり、勾玉を守る遠子の郷を焼き滅ぼしてしまう。
「小倶那はタケル、忌むべきものじゃ」大巫女の託宣を胸に、遠子は彼を倒すため、勾玉を連ねた「死」の首飾りを求めて旅立つが…?
ヤマトタケル伝説を下敷きに織り上げられた、壮大なファンタジー。


約10年ぶりに再読。
勾玉シリーズで一番好きだったのが、本書。
久しぶりに読んでもやっぱりよくて、久々に寝るのを惜しんで読みました。

運命に翻弄されつつ、ひたむきに生きようとする人々が織り成す物語。
壮大な和風ファンタジーです。
勾玉を集める旅はまるでRPGゲームのようで、そのファンタジー色の強い世界観に魅せられます。
加えて人物が誰も魅力的。読んでいて何度か泣かされました。
人は様々な一面を持っている生きものだと思いますが、それらが丁寧に書かれているからこそ読んでいて身近にも、愛おしくも感じるんでしょうね。
弱い一面と強い一面、好ましい一面と好ましくない一面。
思わずハッとさせられる場面がいくつあったことか。

以前読んだ時はただただ、そのファンタジーの魅力や人物描写に惹かれたけれど、改めて読んでみるとテーマの1つに「愛情の形」があることに気づきます。
本書には本当に様々な愛情の形で溢れていて、どれが良くてどれが悪いというものではないけれど、考えさせられるものがありました。
相手を想うこと、向き合うこと、一緒に生きることの大切さに触れられます。

「知るということは分けあうということよ。
たとえわたしに何もできないとしても、知る者がいるだけでちがってこないかしら」  (p350)

★★★★★

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「空色勾玉」 荻原 規子

村娘狭也の平和な日々は祭りの晩に破られた。
「鬼」が来て手渡した「水の乙女の勾玉」。憧れの「輝」の宮で待っていた絶望。
そして神殿で縛められて夢を見ていた輝の末子稚羽矢との出会いが、狭也を不思議な運命へと導く。
神々が地上を歩いていた古代日本、光と闇がせめぎあう戦乱の世を舞台に織り上げられた、話題のファンタジー。


中学生の頃に読んで、すごくすごく惚れ込んだ作品です。
ファンタジーといえば、海外ものがメインだった私に、日本のファンタジーの魅力を教えてくれた気がします。
日本神話をベースにした、とても幻想的な物語でした。
大好きだったけど、十年以上読んでいないと内容も綺麗に忘れてしまうものですね。新鮮な気持ちで読めました。

光に焦がれる闇と、闇に惹かれる光。
切なくて、それでいて共感できて、胸が締め付けられるようでした。
最後の神様たちの掛け合いがすごく好き。日本語の美しさに思わずうっとりします。それに、自然の美しさにも心が洗われるかのよう。
自分の役割について。死について。愛について。
主人公と一緒になって幼心にかえったように考えていました。

読み終わった後は、自分も大きな冒険をしてきたような気持ち。
闇と光のコントラストがやっぱり美しい。
日本人が古来から大事にしてきた自然を慈しむ気持ちが全体にあるのもいいですよね。
再読してみて、やっぱり好きだなと思わずにはいられない作品でした。
これがデビュー作とは、驚きです。

雨は体で感じてみなければ、その多彩さや喜ばしさを知ることはできないものだ。
もちろん、ときには雲によって、固く冷たくからい雨もある。
だが、夏の雨はたいてい甘くかぐわしい。
降るごとに異なる、遠い天から運んだにおいがある。
  (p105)

★★★★

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